インジェクティブ(INJ)とは?
インジェクティブ(INJ)は、取引所やデリバティブなど金融アプリ向けに設計されたCosmosベースのレイヤー1ブロックチェーンとそのネイティブトークンです。
インジェクティブはプロジェクト公式資料によると2018年にエリック・チェン氏とアルバート・チョン氏が設立し、メインネットは2021年11月に公開されました。インジェクティブは当初から取引・貸付・デリバティブなどの金融機能をチェーンのモジュールとして提供する方針で開発されています。
インジェクティブは何でも載せられる汎用チェーンとは異なり、金融用途に最適化されたチェーンを掲げています。この金融特化の方向性が、インジェクティブを他のレイヤー1と区別する中心的な特徴です。
インジェクティブのオンチェーンオーダーブックとは?
インジェクティブは、AMM(自動流動性プール)方式が主流の分散型取引所とは異なり、中央集権型取引所に近いオーダーブック(板)をブロックチェーンのモジュールとして直接実装しています。インジェクティブ上では指値注文や無期限先物などのデリバティブ取引をオンチェーンで処理できます。
インジェクティブのオーダーブックモジュールは複数のアプリが同じ流動性を共有できる設計で、新しい取引アプリが流動性をゼロから集める必要が少ない点が特徴とされます。この仕組みがインジェクティブをプロ向け取引のオンチェーン金融インフラとして位置づけています。
INJのバーン(焼却)の仕組みは?
インジェクティブは、エコシステムのアプリで生じた手数料の一部でINJを買い戻し、永久に焼却する仕組みを運用しています。インジェクティブ公式ブログによると、当初はアプリ手数料の60%を集めて毎週オークション(Burn Auction)を開き、落札に使われたINJを焼却する方式でした。
インジェクティブは2025年から、参加者がINJを預けて収益の分配を受ける月次のコミュニティ・バイバックへと仕組みを改め、ガバナンス提案IIP-617で複数のバーン手段を束ねた『INJ Supply Squeeze』を導入したと公式ブログで説明しています。
INJのジェネシス時の総発行量はプロジェクト文書によると1億枚で、焼却の進行に伴い総供給量はこれより減っていく設計です。ただしINJの焼却規模は、実際のネットワーク利用量と手数料収入によって変わります。
インジェクティブは他チェーンや実物資産とどうつながる?
インジェクティブはCosmos IBCで他のCosmos系チェーンと接続し、ブリッジを通じてイーサリアムやソラナなどとも資産をやり取りできます。
インジェクティブは米国株・国債・コモディティといった実物資産(RWA)をオンチェーンで取引・追従する商品へ領域を広げてきました。複数チェーンと実物資産を一つの金融ハブにまとめることが、インジェクティブの目指す方向です。
ネイティブEVMと今後の計画は?
インジェクティブは2025年11月にネイティブEVMのメインネットを公開し、イーサリアムのアプリをコード変更なしで移行できる環境を提供したとCoinDeskが報じています。インジェクティブは従来のCosmos系WASM環境とEVMを併用するマルチVM構成を目指しています。
インジェクティブのロードマップは、EVM開発者の呼び込み、実物資産・デリバティブなど金融商品の拡充、バーンの仕組みと相互運用性の高度化に重点を置いています。インジェクティブが掲げる目標は、オンチェーン金融の基盤インフラとして定着することです。
インジェクティブのリスクは?
インジェクティブの金融特化戦略は方向性が明確な一方、実際の取引量と流動性が十分に集まらなければ強みを生かしにくいという弱点があります。インジェクティブはソラナ、イーサリアムのレイヤー2、Hyperliquidなど、オンチェーン取引の需要を争うチェーンとも競合しています。
INJの焼却による供給減少の効果は、最終的にエコシステムの実利用量と手数料収入に左右され、デリバティブや実物資産トークン化は各国の規制変更の影響を受ける可能性があります。本記事は情報提供を目的としたもので投資助言ではありません。投資判断は必ずご自身の責任で行ってください。